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海外・アジアで働く人々の就職体験談!連載企画『アジアで働く』

上海で働く:陰山 欧亜さん(メーカー・人事)

海外就職体験談 2018-11-07




【プロフィール】復旦大学(上海)中英学科卒業。新卒で日系美容サロンに勤務し、事務全般や通訳などを担当。その後IT企業にて秘書を経験し、現在大手日系メーカーにて人事として活躍中。人事企画から採用まで幅広く担当している。


「20代後半の今だから私はここ上海で今後の生き方を考えてみたい」

陰山 欧亜(おうあ)さん 28歳



「日本を出て、海外で働く人ってどんな人だろう?」
筆者の私は結婚がきっかけで、上海で生活することになりました。このコーナーでは、そんな海外生活初心者の私が、自分の意思で海外でのキャリアを創る方に、海外で働くきっかけ、またその魅力をお伺いします。



   かつて、上海は海外在留邦人数が世界一の都市だったそうです。2010年上海万博の前後では一説には10万人の日本人がいたと言われていますが、その後2017年には約5.6万人と急速に減少していきました。それでも現在、ニューヨークやロンドンなどに次ぐ上位5都市のひとつです。
   実は私は同世代の日本人女性にお会いすることがめっきり少なく、上海にはいないものだとなんとなく思っていました。ところがある日本人の集まりに参加したとき、どうも上海在住の「91年女子会」というものがあり、すでに50名以上の方が登録されているというお話を聞きました。この91年会だけでも50名いるということは、20代まで対象を広げるとかなりの数の日本人女性がいそうな気がしてきました。それぞれどのような経緯があって上海で生活することになったのかわかりませんが、異国の地で同世代がいることはほっとします。

   今回お話を伺った陰山さんはそんな20代日本人女性の一人。現在は日系企業で人事として働かれています。大学から上海生活がはじまり、今年で10年目になる陰山さんはなぜここ上海で長く生活するのか、お話を聞かせていただきました。


***


今後、中国が世界をリードする存在になると感じて

   もともと海外で生活することに興味があって、高校の時から外国の大学に行きたいと思っていました。当時、北京オリンピックが開催されるというときで、世界中から中国が注目を集めていました。連日テレビで放送される北京や上海の街は、高層ビルが立ち並び、街にも活気があって、今後もこの勢いが続くのであれば、いずれ日本や世界で中国語を使う機会が増えていくのではと思い、高校卒業後の進学先を中国の大学に決めました。
   私の名前の「欧亜」も、両親が海外でも通じる人間にと願ってつけたくらいですから、中国に行くことに関しては全く反対しなかったです。普通、子供が高校を出て急に中国に行く、といったら反対しますよね(笑)



陰山さんのお誕生日会をご友人が開いてくれたときの一枚。


「失敗してもやり直せる」と自分に言い聞かせ、上海で就職!

   中国の大学に行くと決めたものの、中国語が堪能なわけでもなく、カタコトの中国語で中国生活はスタート。大学の4年間になんとか中国語をマスターし、周りの友人にも助けられながら無事卒業しました。
   大学卒業時に日本で働くか、このまま上海にとどまるか悩んだ末、とどまる道を選びました。日本人の友人の9割は日本に帰国して就職し、私を含め、残ったのは数名。周りの友人と違う道を歩むことに不安を覚えましたが、「海外で働く」って若いうちの特権というか、失敗してもまだやり直せるチャンスはあるから、このタイミングで帰らなくてもと思ったんです。
   その後、上海に残ると決めて就職活動を開始。最終的にご縁をいただいた、日本から中国に進出してきたばかりの美容サロンで働くことになりました。その店舗で接客、スタッフの指導、日本本社から送られてくる資料やポスターの翻訳、中国人総経理と本社の通訳など、まだ進出したばかりで会社の規模も小さかったこともあり、いろんなことが整っていなかったため、とにかく何でもやりました。



上海の夜景がお気に入りだそう。


形ある経験を積みたいと思い、未経験から大手企業の人事へ

   その後、IT企業で秘書の仕事を経験しました。ただ秘書と言っても、前職と同じく会社の規模が大きくなかったこともあり、なんでも自分でやらなければならない職場でした。仕事は楽しいこともありましたが、人に何の仕事をしているのと聞かれたとき、自信をもってこれだと答えられるものがなく、日々このままでいいのかと焦っていました。
   そこで明確なスキルをつくるために、分業ができていて、今後も経験を積み重ねていける仕事ということで、中国に進出している日系大手メーカー企業に転職しました。こちらの会社で人事として勤務しはじめてから、この冬で3年目を迎えますが、会社がさらに大きく成長していく段階ということもあり、毎年、数百人規模の社員を採用しています。日本ではこれくらいのスケールの採用活動をしている会社も限られてきますし、人事未経験からこのような経験ができる転職のチャンスがあったのもここ中国だからだと思っています。

長年続いた恋人との別れ

   実は、大学時代に出会った中国人の彼氏と卒業後も長くお付き合いをしてたんです。結婚直前というところまでいきました。でも結婚したらずっと私が上海にいることになるんじゃないかと日本の両親が心配していたことや、最終的には日本に帰りたいという私の思いもあり、中国人の彼と結婚することが本当に自分の思い描いている将来なのかということに疑問を持ちました。もし日本で生活することになっても、日本語ができない彼では仕事も見つかりそうもないとか、ネガティブな将来しか想像できなかったこともあり、今年、お別れすることにしました。でも今は、すでに新しいスタートを切っています。

私が上海にとどまる理由

   今のところ、日本に帰ろうとは思っていません。その理由は上海の生活が気に入っているからです。大学を卒業してようやく自分のやりがいが持てる仕事に出会えたからということもありますし、かけがえのない友人がいることも理由ですね。外国人として上海で生活していると、出会いも別れも日本よりも多いと思います。その中での出会いは、日本と比べても深いような気がしています。
   言葉もわからずに上海に来て10年が経過しますが、仕事でもプライベートでも充実して、今の自分にようやく自信が持てるようになった気がします。私もまだこの先についてどうなりたいのか、どうしたいのか、はっきりとはわかりません。日本よりも変化が速く、より豊かになりたい、成長していきたいという人々のパワーがあふれるこの上海では、何かプラスに働くような感じがしています。いつか自分の明確なキャリアといえる経験を積んで、帰りたいなと思えるときがくるまで、当面こっちで頑張ろうと思っています。




日本人のご友人とは週末に食事会を開くことも。


相手の目を見て、ときどきユーモアを交えながら丁寧に受け答えをしてくれた陰山さん。結婚や美容の話題で盛り上がったり、キャリアに悩んだりする姿は、同世代の女性そのものでした。しかし、自然にまとう自信や風格のようなものは、自ら人生を切りひらき、さまざまな壁を乗り越えてきた彼女だけがきっと持つもので、かっこいいなあと素直に思ったのでした。



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